乾物
日本最古の乾物といえば「カツオ節」ですが、山や海での季節ごとの収穫に恵まれている日本は、たくさんの乾物が作られる条件にピッタリだといわれています。四季折々の味覚を乾燥させて作られた乾物は、ヒジキや昆布、、干しエビ、切り干し大根、干ししいたけ…などなど、たくさんあります。これらは昔の人の知恵によって生まれた栄養価の高い食材です。料理の具材としてだけでなく、和食の命ともいえる「だし」を取る材料にもなったり、乾物は今でも日本の食卓には欠かせない食材となっていますね。
「乾物」と「干物」ってどう違う?
簡単に分けてしまうと、「乾物」は、植物性食品の乾燥品や加工品、「干物」は、魚介類や動物の乾燥食品。
こういった括りはあるようですが種類もいろいろ分かれます。
★乾物
・麺類・・・そば、そうめん、冷麦など
・粉類・・・小麦粉、片栗粉など
・野菜類・・・切り干し大根、かんぴょうなど
・きのこ類・・・干ししいたけ、きくらげなど
・海藻類・・・昆布、ひじき、わかめなど
・豆類・・・大豆、小豆、黒豆など
・凍結乾物・・・凍り豆腐、寒天など
・加工品・・・麩、ゆばなど
★干物
・アジ、スルメ、貝柱、じゃこなど
生より凄い乾物の旨味と栄養価!
もちろん、新鮮な生には生にしか含まれない栄養素や、生なりの良さがあります。しかし、乾物は単に生から水分を抜いただけの加工品ではありません。乾物は、独特の旨味と栄養分を持つ別の食品へと変化しているのです。その一番の要因は、「外気と太陽」であり、乾燥させる過程で外の風や光に当てることで、成分が熟成し、香りや旨味、そして栄養価までアップするものがあるのです。
さらに嬉しいことに、乾物は他の多くの加工品と違い、自然の素材をそのまま乾燥させたものなので添加物などを使っていないため、健康食品としても安心して利用できます。
干ししいたけを「ビタミンD」の宝庫にする裏ワザ!
ビタミンDは、カルシウムとリンを体内に吸収する際に欠かせない大切な栄養素です。
ところで、きのこ類の中でも特に「しいたけ」ですが、干すことによってがビタミンDが豊富になるのです。もともと生のしいたけにはビタミンDは含まれていません。でも、ビタミンDの前駆体(エルゴステリン)が含まれています。どういうものかというと、これは太陽の光に当たることによって初めてビタミンDに変化する成分なのです。そのため、“天日干し”で乾燥させた干ししいたけはビタミンDの宝庫となるわけです。
最近売っているものは、天日干しではなく、ガスで乾燥させているものが殆どのようです。太陽の光に当てなければ、ビタミンDの前駆体はビタミンDには変化しません。
でも、自分で簡単にビタミンDを増やすことができます。太陽の光に当てれば良いのです。料理する前や買ってきたときに、2時間ほど天日干しし、熱を冷ましてから冷暗所で保管すればOKです。
ただ、せっかく天日干ししても、しまいっぱなしだとビタミンDは減っていきます。紫外線効果は約10日間位といわれているので、日数が経ってしまったらもう一度干せば、減ってしまったビタミンDはまた増えます。
因みに、「きくらげ」もきのこの仲間です。同じように紫外線に当てるとビタミンDの量がグンとアップします。
魚の干物には太陽の光は当てない
ビタミンDと紫外線には深い関係があります。干ししいたけだけではなく、人間も日光浴をすると体内でビタミンDが作られるほどです。
でも魚の干物は別です。魚の肝臓にはもともとビタミンDが多く含まれていますが、これは太陽の光に当てても増えることがありません。それどころか、魚には脂が含まれているため、この脂の酸化を早めてしまい、過酸化物が生じやすくなってしまうので注意しなければいけません。